「キャリア面談をすると辞める?」という誤解
「キャリア面談を実施すると、社員が会社を辞めたくなるのではないか」
人事担当者から、そんな声を耳にすることがあります。
キャリアの話をすることは、「転職を促してしまうのでは?」という不安。
特に若手社員の離職が課題となる中、慎重な姿勢になるのも無理はありません。
ですが、実際のデータや現場の声は、真逆のことを語っています。
キャリア面談は、「辞めたくなる場」ではなく、「この組織で働き続けたいと思える場」になりうる――そうした事実を、いま私たちキャリア支援者こそが正しく伝えるべきではないでしょうか。
「辞めたくなるから、話さない」は本末転倒
日本においては、キャリアの話=退職や転職の意思表示と見なされがちです。
そのために、多くの企業では「キャリアの悩みは言い出しにくい雰囲気」が温存され、社員が自らの想いや展望を語る機会を失っています。
ただし、これは、逆に「辞めさせてしまう組織」をつくってしまっているのです。
厚生労働省の『令和5年版労働経済の分析』では、若年層の離職要因として「キャリアの見通しの立てづらさ」や「職場の人間関係への不満」などが挙げられており、これらが離職意向と深く関係していることが示されています。 これらの背景には、職場内で自分のキャリアや気持ちを相談・共有できる環境がないこと、先輩たちからその示唆を得る機会がないこと、つまり“対話の不在”があると読み解くことができます。
つまり、キャリアについて“話せない”ことが、最もリスクなのです。
この記事は無料で続きを読めます
- データが示す「面談=定着促進」
- なぜ面談が定着を生むのか?理論からの考察
- 面談は「退職相談」ではなく、「選択肢を整理する時間」
- 組織で定着を高めるキャリア面談の設計
- 「辞めたい」ではなく「ここでどう働くか」を話せる組織へ
- おわりに
すでに登録された方はこちら